ソフトウェアを作ることの責任
ソフトウェアのバグをゼロにすることは今のソフトウェア工学では不可能です。起きてしまった事実は戻せないし、どのように利用者に受け止められるかも分かりませんが、ソフトウェアを作る者として、問題に対しては誠実でありたいと思います。
EDLINのバグ事件
古川さんのBlogより:
この話、だいぶ前に聞いたことがありましたが、後日談については知りませんでした。朝7時のNHKニュース、見てみたかったなあ。鳥取のNHK職員さんは、きっと大事なデータが飛んでしまい、怒り心頭だったのでしょうね。:)
今では考えられないような話ですが、現在はもうあり得ないことなのでしょうか!?
現在でも起こりえる話
マニアのオモチャにすぎなかったパソコンがオフィスに浸透して十年あまり経過しました。パソコンに限らず携帯電話やDVDレコーダーなど、コンピュータは多くの電気製品に導入されています。以前は考えられなかった分野にもコンピュータが使われるようになってきました。
それと共にコンピュータとソフトウェアが果たす役割は重要度を増してきたように思います。以前は大口の顧客だけに行われていた手厚いサポートも、今後は広く行う必要が出てくるに違いありません。
ご存じのように報道は、ある特定の視点からのみ語られる場合が多いです。関係者が見たら明らかに事実と違っていることでも、TVの映像や音声(それに多少の演出)などは、多くの人にとってインパクトがあります。
Winnyからも分かるように、何が災いして事故が起きないとも限りません。その時「ちゃんと利用者が気をつけていれば防げたはず」という理論は通用しないでしょう。例えそれが無償でかつat your own riskなソフトウェアであったとしても。
それでも起きてしまったら
ソフトウェアのバグをゼロにすることは今のソフトウェア工学では不可能です。念入りにテストをすることはもちろん大切ですが、それで事故を100%防ぐことはできません。重要なことは製作者がそのソフトウェアをどのように作成し、テストをし、メンテナンスを行ったのか、誠実に答えることが出来るかということではないでしょうか。
これは私の勝手な憶測なのですが、鳥取のNHK職員さんはきっとマイクロソフトのサポートに電話したに違いありません。データを復旧させる手段なども聞いたことでしょう。もしもそれが事実で、サポートの対応が適切であったならば、結果は違ったものになっていたかもしれません。
起きてしまった事実は戻せないし、どのように利用者に受け止められるかも分かりませんが、ソフトウェアを作る者として、問題に対しては誠実でありたいと思います。