プログラマyasuhoの隠れ家

某ソフトウェア企業に勤務するおじさんプログラマyasuhoです

久夛良木さん発言


忍之閻魔帳さんのblogで、日経ビジネスにこのような記事が掲載されていることを知る。


http://blog.goo.ne.jp/ipod_mini/e/658aea5f58055c9e16ce9722984d2957


ちなみにこれが日経ビジネスの記事内容:


http://nikkeibp.jp/wcs/leaf/CID/onair/jp/biz/354840


ぼくは久夛良木さんの話を直接聞いたわけではないので、この記事で久夛良木さんが言われていることの真意は分からないけれど、やはりSCEの社長たる人なんだから、(真意はそうでなかったとしても)容易に誤解されやすいような発言はするべきではないと思う。
この記事を読んだ人がどう思うか、想像できない人ではないはずだ。


にも関わらず、このような発言が出てしまうということからぼくが考えるに、久夛良木さんは技術者に近い人ではないかと思う。
彼は苦労して作ったPSPを誇りに思うと共に、とても愛しているのだ。
それは記事の写真の下にある「PSPは僕の娘」という発言からも想像できる。
初期不良問題については、自分の娘を非難されているような気分となり、「うちの娘をいじめるんじゃない!」という発言になったのではないだろうか。


なぜぼくが久夛良木さんが技術者寄りだと感じたかというと、同じ技術者であるプログラマの反応に似ているのだ。


プログラマは自分が設計し、苦労して作ったプログラムを愛している。
そのプログラムのバグを見つけるテスターは、プログラマにとってはにっくき敵である。
「かわいいうちの子になんてことを」なんて気持ちになっても不思議ではない。


また、プログラマはプライドが高いので、プログラムのデザインや仕様に文句を言われることを嫌がることも多い。
特に自分が設計したプログラムのアーキテクチャをかなり改変する必要がある仕様変更に対しては、嫌がるものだ。
自分の美しいアーキテクチャを守るために抵抗することもある。
「あなたはプログラムのことを何も分かっていない」みたいなことをプログラマに言われた人も多いのではないだろうか。


だが、それはほとんどプログラマのエゴである。
プログラム構造やアーキテクチャが美しいとか、プログラミングインタフェースがどうのこうのとか、そういうのは実際にそのプログラムを利用するユーザにとっては、全く関係のないことである。
ユーザはプログラムが自分の思ったように動き、ハングアップせずいつも安定して動く、使っていて快適なものを求めているのだ。
プログラマがいかにアーキテクチャの素晴らしさを説いたところで、何の意味もないはずだ。


自分だけとか、数少ない人に使われるプログラムであれば、さほど大きな問題にはならないかもしれない。
ただ、それが多くの人に使われるものならば、プログラムは使う人の立場に立って設計されるべきである。
ユーザにとって使いにくいものは、淘汰されていくのだ。


「こんなにいいものを作ったのに、なんでみんな文句を言うんだ」
久夛良木さんが言いたくなる気持ちも分からないではない。
でも、これは芸術作品じゃなくて、子どもから大人まで多くの人が遊ぶ機械だよね。
遊びやすい機械じゃないと、そのまま博物館行きになっちゃって、シャレにならないっすよ。:)