プログラマyasuhoの隠れ家

某ソフトウェア企業に勤務するおじさんプログラマyasuhoです

「情報」を学習する前に


高校の必修科目としての情報学習はプログラミングを重要視していないようです。しかしながら「情報」はコンピュータやネットワークの仕組み、ソフトウェアの作り方、といった基本技術の上に成り立っています。さわりだけではなく、基本技術を学習することで「情報」をより正しく深く理解することができるようになるのではないでしょうか。

情報A


先日夜中にNHK教育TVで情報Aという番組をやっていました。


NHK高校講座におけるコンピュータ入門といった感じです。たまたま第一回目だったようで、コンピュータが家庭内の電気製品に応用されていること、コンピュータの原理、今後の予定、といったようなないようでした。


さて、その「情報A」とは何かというと、NHKのウェブサイトによれば、こういうことです。

平成15年度から教科「情報」が高等学校でスタートしました。
「情報A」はコンピュータやインターネットなどの経験の浅い生徒でも履修できる「実践的な情報入門」ともいえる教科です。
(ちなみに「情報B」は、コンピュータに興味・関心を持つ理系の生徒向け。
「情報C」は、情報社会やコミュニケーションに興味・関心を持つ文系の生徒向けと言われています。)


なるほどなるほど。3年前から「情報」という教科が出来たんだね。プログラミングは情報Bあたりで学べるのかな。

情報という学科


情報という学科については、以下のサイトを利用させていただきました。


http://www.comm.musashi-tech.ac.jp/~matuyama/hs-joho.htm

学科について


学科の概要については、以下のリンクに情報があります。


情報教育の目標、学習指導要領における改善内容 (文部科学省, pdf形式)

・普通学科「情報」を新設し必修(「情報A」「情報B」「情報C」(各2単位)の中から選択必修)
・専門教科「情報」を新設し、11科目で構成


コンピュータは必須学科になったわけですね。英語と同様に、コンピュータは今後必須技術になっていくであろうという目論見が見てとれます。

指導要領


次に具体的な指導要領について。普通と専門がありますが、通常は普通教科としての指導になると思われます。


高等学校学習指導要領 普通教科「情報」
高等学校学習指導要領 専門教科「情報」


さて、プログラミングに関係すると思われる「情報B」について、普通教科としての指導要領を見てみました。

イのコンピュータ内部での基本的な処理の仕組みについては,一つ一つの命令がステップで動いていることを扱う程度とする。アルゴリズムの具体例については,並べ替えや探索などのうち,基本的なものにとどめるようにする。


情報A-Cは自由に選択可能なので、多くの人は情報Aを選ぶようです。コンピュータに興味があり、情報Bを選んだとしても、プログラミングにふれる機会はあまり多くないと思われます。専門教科であればかなり学べるようですが、実践している所はウェブでは見つけられませんでした。


つまり、高校の必修科目としての情報学習はプログラミングを重要視していないということのようです。

文部科学省への要望


私が学生だった頃はコンピュータは高校の必須科目どころか、専門学校や特定の科目としてしか学ぶことは出来ませんでした。それに比べれば現在の環境は恵まれていると思います。前述の情報Bにしても、アルゴリズムやプログラミングに興味を持つきっかけになり、より深く学びたいと考える学生が出る可能性は高いと思われます。


ただ、前述の文部科学省のコンピュータに関する指導要領を見る限り、ソフトウェアを作るという課程はあまり重要視されていないようです。文部科学省の「情報学科」関連サイト(このへんとか)を見ても、それを目的としていないことがよく分かります。たしかに「情報」なのですが、もう少しプログラミングにふれる機会を多くすることは出来ないものでしょうか。


今日のコンピュータやそれを取り巻く環境を考えると、原理や作り方を教えるより、まずは使い方を教える方が先という考え方は正しいとは思います。ネットワークの怖さ、セキュリティの重要性、各種ソフトウェアの使い方、などの注意点も、コンピュータを利用する上ではとても大切なことです。


大切ですが、それらはコンピュータやネットワークの仕組み、ソフトウェアの作り方、といった基本技術の上に成り立っているわけです。さわりだけではなく、基本技術を学習することで「情報」をより正しく深く理解することができるようになるのではないでしょうか。

コメントお待ちしています


私は現在の教育現場の実情を理解しているわけではないので、的外れなことを言っているかもしれません。「それは違う」とか「実際はそうじゃない」などの意見・コメントがありましたら、聞かせていただけると嬉しいです。